愛知県西尾市:真宗大谷派:正念寺

-殉教記念会-

正念寺:殉教記念会

 明治維新は、それまで惰眠をむさぼっていた寺々に大きな打撃を与えた。

維新政府は、天皇崇拝を核とする国家神道によって、国民の思想教育をはかった。

その神道国教化のの第一歩として「神仏判然令」が発せられた。

これは、仏と神が混然となった信仰の姿から、神道を独立・純化させ、それまでの仏が主で神が従という関係を、逆転させる狙いのものであった。

従って、ただちに仏教の弾圧を意味しなかったが、実際には江戸時代を通して保護された仏教に対する反発や、急進的な国学者・地方官吏の指導により、全国各地で寺院や仏像の破壊などの仏教排撃運動、いわゆる廃仏毀釈が展開された。

明治四年二月、三河における所領およそ一万石を統轄するため、大浜に陣屋を構えた菊間藩(旧沼津藩)は、管内の寺院・領民に対し、天拝・日拝(歴代天皇・天照大神の神霊を拝す)の強要や、神前念仏の禁止等の政策を打ち出した。

これらは、神道国教化を強力に推し進める維新政府の方針に忠実に従ったものであった。

しかし、熱心な真宗門徒である領民や、石川台嶺を中心に青年僧で組織される三河護法会には、到底受け入れられるものではなく、「宗風にあるまじきこと」として強固にはねのけた。

同年三月九日未明、台嶺をはじめ三十数名の有志が血誓し、政策に同意を示した二ヶ寺の糾弾と、菊間藩との談判を目的に、暮戸会所から大浜へ向かった。

途中門徒農民が次々と一行に加わり、鷲塚へ到着した時には数千人に達していた。

  菊間藩はこの動きを知り、急遽杉山少属以下五名を鷲塚へ派遣した。

そして、庄屋片山俊次郎宅で台嶺ら護法会代表との談判が行われたが、双方の主張は日暮れになっても平行線のままで、帰りを待つ僧侶・門徒は次第に殺気立ってきた。

やがて、蓮成寺の鐘を乱打し、片山邸へなだれ込み、逃げ出そうとした役人を襲い、そのうちの一人、藤岡薫を殺害してしまった。

  翌十日、台嶺をはじめ事件に加わった者は逮捕され、取調べを受けた。

四月末に岡崎城で裁判が行われ、判決は十二月二十七日に申し渡された。

事件の中心人物である台嶺と藤岡薫殺害犯とされる榊原喜代七が死刑、以下血誓僧に懲役刑が課せられた。

また、始末書を出した門徒は千人を越える。

 この事件以後、排仏運動は沈静化していくが、明治政府の宗教改革は、やがて日本人の精神に根本的な大転換が生じる程の成果を挙げることとなる。

それとともに、台嶺らの護法精神や、真宗の風儀(宗風)は忘れられてしまった。

私たちはいま、大浜騒動が時代を越えて訴えるものを正しく受け止め、自らの信仰を貫き通した人々の魂を甦らせねばならない。

正念寺:殉教記念会

-殉教記念碑-

 明治40年、台嶺三十七回忌法要を記念し、三河学友会によって「台嶺殉教之地」と刻んだ石標が作られた。

そして44年には、田中長嶺が事件のてん末を絵と詩でまとめた「殉教絵史」を刊行した。

これらがきっかけとなり、五十回忌を迎える大正9年頃、台嶺が処刑された葵町(西尾市)の西尾藩牢獄跡に「記念碑建設を!」の声が、西尾寺院(現11組)の中に起こった。

そこで平野円玄(正念寺)・泉慧嶽(聖運寺)が中心となり、事務所を聖運寺に置き、建碑運動を展開した。

同年、三河別院で事件50年記念遺品展を開催、翌10年には村上専精博士を招いての講演会、多田鼎師の小冊子「三河の殉教者」を刊行と、世論啓発につとめた。

 募財は、三河一円に寺院や有志により往訪・文書等あらゆる方法をもってお願いし、また、岡崎教務所を通じ全国より喜捨を求めた。

碑については、題額を東本願寺彰如法主(句仏上人)、撰文を村上博士、書を東南家賢氏の各氏に依頼した。

 これら多くの方の墾念により碑は完成し、大正13年6月6日に除幕式が、翌7日には殉教之士追悼法要が厳修された。

近隣市町村より多数の僧俗の参集を得て、西尾町空前の賑わいであった。

記念碑建立によって新しく殉教記念会が結成せられ、毎年6月6日に殉教記念法要を修行と定められた。

第一回の法要が翌14年6月6日に厳修され、今日に至るまで一回の休みもなく続けられているが、敷地内の清掃奉仕など、建設当初から維持管理に携わって下さる地元葵町町民に負うところが大きい。

-殉教記念会-案内図

1.暮戸教会 岡崎市暮戸町
2.蓮泉寺 安城市小川町
3.城泉寺 安城市城ヶ入町
4.竜讃寺 西尾市米津町
5.蓮成寺 碧南市鷲林町3丁目
6.大浜陣屋跡 碧南市羽根町1丁目
7.林泉寺 碧南市本郷町3丁目
8.西尾教会 西尾市末広町
9.殉教記念碑 西尾市葵町
殉教記念会:案内図

殉教記念会

事務局/愛知県西尾市上町下屋敷41 正念寺内
TEL(0563)57-2476

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